彼岸のこころ 〜 〈持戒〉いのちの根っ子に気づく 〜

繁昌院 人生繁昌の法則
【お大師さまのみ教えが 生き方を変え 人生を幸せにしていく】


彼岸のこころ 〜〈持戒〉いのちの根っ子に気づく 〜

令和をむかえ、初めてのお彼岸がやってまいりました。お彼岸はご先祖さまを敬い、御供養申し上げる期間です。

「彼岸」とは「彼の岸」。つまり向こう側。私たちの住んでいるこの世界を「此岸(しがん)」。そして仏さまの住まれる世界を「彼岸(ひがん)」といい、彼岸とは私たちの世界〈此岸〉と、仏さまの世界〈彼岸〉が繋がる期間です。ですから、この世に住む私たちも仏さまのように、清らかで清々しい祈りの生活をする一週間なのです。

では、どうすれば仏さまの様な生活ができるのか。それには「六波羅蜜」といい、六つの修行が説かれます。今日は「持戒」という徳目をお話しします。

持戒は「戒をたもつ」ということです。では「戒」とは何かといいますと、守るべきルールのこと。仏教ではそれぞれの立場に応じて、ルールが定められています。しかし、弘法大師さまの教えにおいては、まず最も基本となる戒があります。それが「三摩耶戒(さんまやかい)」。

三摩耶戒とは、簡単にいえば、「自分のいのちの根幹を自覚し、行動する」ということです。それがルールなのです。

皆さんは自身のいのちの根幹を考えたことはありますか?お父さん・お母さん、そしてご先祖さまから繋がるこの命のはじめは、どこにいきつくのでしょうか。それは、宇宙のはじまり、いや。宇宙そのものであると、弘法大師さまは説かれています。そして、その宇宙のことを「大日如来」とよび、大日如来を拝むのがお大師さまの御教えです。

ですから、皆さんは大日如来から繋がるいのちの、最も最先端を生きるいのちなのです。故に、大日如来と同じいのちを有した、仏であると言えるのです。

そのことに気づき、そのことを自覚することが「三摩耶戒」です。そう考えれば、自分が仏であるならば、両親をはじめご先祖さまは仏様であることに間違いはありません。ですから、お彼岸の期間はより丁寧に、ご先祖さまを御供養するのです。

戒を守るということは、「仏としての生活を守る」ということでもあります。どうか、この一週間は、清らかな心を保ち、多少のことでは動じず、怒らず、穏やかに生活をし、家族にはいつもより少しだけ優しい言葉と、心をもって接していただければ、みんなが幸せなお彼岸を過ごすことができるでしょう。

皆様の仏心に合掌。

 

令和元年9月20日
福照山 繁昌院 上田希真

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