お盆の季節となりました。
 檀家さんのお宅をお参りさせていただくと、こう聞かれることがあります。

 「和尚さん、お線香は何本お供えしたらいいんですか?」

 私はこのようにお伝えしています。
 

 「決まりはありませんよ。でも忘れちゃいけない大切なことは・・・」

 

 よくお線香の本数で言われるのは、【過去・現在・未来】の諸仏に供えるから三本。また【仏・法・僧】に供えるから三本と聞くこともあります。どれも縁起を担いでいるのかもしれません。

 決して三本が間違いではないでしょう。でも、それよりも大切なことがあるように思います。それは、香りの良し悪しです。

 お線香は香りをほとけ様に御供えするものです。良い香りでなければ、そもそも御供えになりません。

 ですから「本数よりも、ご家族の皆様がいい香りと感じるものを御供え下さい。天然素材で上質なものは多少高価かもしれませんが、よいお線香を供えて下さい。」とお話しします。すると、

 「そうですか。高価なものになってくるなら、おのずと本数は一本になりますね」と最後は笑い話になるものです。

 この夏は、皆さんが感じる良い香りを、ほとけ様。そして御先祖様に御供え下さい。きっとニコリと喜んでくださることと思います。

 令和2年8月お盆